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新型肺炎で自動車業界ピンチ、武漢に生産拠点多数 - ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

東風汽車とホンダの合弁会社(東風ホンダ)の武漢工場(2019年11月撮影) Photo: str/Agence France-Presse/Getty Images

 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で、武漢市を含む中国湖北省は世界の他の地域と切り離され、封鎖状態にある。それによって世界の自動車産業が深刻な影響を受ける可能性が出ている。自動車各社は中国中部の同地域に大きな拠点を置いているからだ。

 感染拡大により中国での自動車生産の一部が中断され、大手メーカーは出張を制限し、従業員が自宅にとどまるよう求めている。少なくともドイツの自動車部品メーカー1社で28日、社員4人の感染が確認された。

 中国の自動車産業は30年前、ほぼゼロに近い状態から出発したが、2009年には米国を抜き、いまや世界最大の新車販売市場となっている。新型ウイルスの発生源とみられる湖北省の省都・武漢は、その間に自動車製造ハブとしての地位を築き、国有自動車メーカーの東風汽車が拠点を置くほか、ホンダ、仏PSAグループ、米ゼネラル・モーターズ(GM)などが多数の組立工場を持つ。

 アナリストは、感染拡大が自動車産業に与える潜在的ダメージを推定するには時期尚早だと話す。だが2013年に中国で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の短期的影響とは比較にならないと指摘。中国の自動車市場は当時はるかに小さかったからだ。

新型肺炎による死者が増える中、中国政府は応急の病院2棟を武漢市に建設すると発表した。映像はプレハブの資材などを積んだ建設現場の様子(中国語音声、英語字幕あり) Photo: Hector Retamal/Agence France-Presse/Getty Images

 中国の自動車販売は過去10年間の大半でブームを経験してきたが、消費者の需要は弱まりつつある。業界全体の販売台数は昨年、2年連続の減少となった。アナリストはウイルス感染がさらに広がれば、自動車セクターを一段と圧迫しかねないと警告する。

 「今後数カ月は自動車を買い控える人が増え、市場がさらに低迷する可能性がある。危機に対する市場の反応が明確になれば、メーカーは生産計画を縮小するだろう」。自動車分析会社グローバルデータの自動車エディター、デービッド・レゲット氏はこう述べた。

 クレディ・スイスが28日の投資家向けメモで引用したIHSマークイットのデータによると、武漢に工場を持つ自動車各社は今年、160万台の生産を見込んでおり、これは中国全体の自動車生産台数の6%に相当する

 ホンダは28日、感染拡大を踏まえると、武漢の合弁自動車工場3カ所でいつ操業を再開できるかは分からないとし、武漢郊外のオートバイ工場2カ所の再稼働を延期すると発表した。SUV(スポーツ用多目的車)「CR-V」やセダン「シビック」などを製造する3工場は合計で年間60万台の生産能力があり、ホンダの中国における生産能力の半分近くを占める。

 ホンダによると、武漢に駐在する約30人の日本人とその家族を、日本政府がチャーターした航空機(第1便は29日朝日本到着)で帰国させる考えで、若干名の駐在員のみを残すという。日産自動車も同じくチャーター機で日本人駐在員と家族を避難させるとした。

 クレディ・スイスによると、PSAグループと日産ルノー連合が武漢で生産する台数は比較的少ない。PSAの広報担当者は、春節休暇のため中国工場は閉鎖しており、社員の中国出張は禁止したと述べた。

 GMは武漢に上海汽車(SAIC)と合弁の自動車工場を持つ。同社は春節休暇に入った1月24日以降、工場の操業を停止しているが、現在の予定では2月3日に従業員が戻ってくると述べた。クレディ・スイスによると、同工場は中国市場向けの4車種を製造しており、GMの中国生産の約19%を占める。

 欧州自動車業界は中国で数百万台を製造し、中国国内工場は数十カ所、従業員は数万人いる。今週、ドイツのメーカーで新型コロナウイルス感染者が報告されたのを受け、厳戒態勢に入っている。

 ドイツ・バイエルン州に拠点を置く自動車部品メーカー、ベバストは28日、中国在勤の従業員が先週ストックドルフにある本社を訪れた後、従業員4人が新型ウイルスに感染したことを認めた。

 べバストは医療チームが感染者と接触のあった従業員らを検査していると述べた。本社は閉鎖され、本社勤務の従業員は2月2日まで移動を禁じられている。中国の従業員には2週間の移動禁止令が出た。同社は、中国国内に武漢工場はじめ11の生産施設を持つ。

 他の自動車メーカーも予防措置を講じている。中国への出張制限や、中国駐在員や中国から帰国した社員に自宅待機を求めることなどだ。

 独高級車メーカーのアウディ、BMW、ダイムラーは、中国の自動車生産や流通に与える影響について質問に答えなかった。中国では移動禁止によって物流が阻害されている。

 フォルクスワーゲン(VW)は外国メーカーの中で群を抜き、中国で年間約400万台を製造する。同社は従業員に中国への不要不急の出張を控えるよう促している。

 VWは北京在住の社員約3500人に対し、旧正月(1月25日)から2週間、自宅で仕事をするよう指示した。中国子会社は新たな通知があるまで国内外の出張を中止した。

 米フォード・モーターの中国子会社フォード・チャイナは湖北省に隣接する重慶に複数の工場を持つ。同社は春節休暇を今週末まで延長し、さらに2月10日まで通常業務再開を延期するどうか判断するという。

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January 29, 2020 at 11:50AM
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