田中貴金属工業は昨年12月、インドのムンバイに現地法人を設立した。産業用の貴金属市場を中心に事業展開を進める計画で、同国を拠点に中東・アフリカ地域へも営業活動を強化する方針だ。インド法人のマネジングディレクター、伊藤裕氏は「インドの自動車市場は中長期的に伸びる余地が大きく、排ガスの浄化に必要な貴金属製品の需要拡大が見込まれる」と話す。
―インド法人を設立した。
これまで当社が営業活動の基盤としてきた日本、中国をはじめとするアジア市場が成熟期に入り、成長が鈍化してきた。米中貿易摩擦や中国の労働賃金の高騰により、世界各国のメーカーが製造拠点を中国からシフトさせ始めている。
インドはもともと、その巨大な人口から成長拡大が期待できる市場として注目されてきた。2014年から始まったインドを世界の製造業のハブにすることを目指す政策や、昨年の大幅な法人税引き下げを受け、製造拠点としてのインドがそろそろ実現するとの判断から、現地法人の設立に至った。
―課題は。
シンガポールの現地法人から、月に1~2回程度の出張ベースでインドを訪問してきた。積極的に市場を開拓するというより、既存顧客の管理や、ウェブサイトなどを経由した引き合いへの対応などが中心。インドのほか、中東・アフリカ市場を本格的に開拓するには、現地に拠点を設立してネットワークを構築し、積極的かつ戦略的に営業活動を展開する必要があった。
―ムンバイに拠点を置いた理由は。
インドに進出する日系企業の多くは現在、同国の北に位置するニューデリー近郊に拠点を設けている。インドに約9000人いるとされる日本人のうち、5000人以上がニューデリー近郊で生活している。これに対し、2200万人の人口を擁するムンバイで暮らす日本人は500人程度にすぎない。
しかし、企業進出が著しい南部のベンガルールやチェンナイ、ハイデラバードのほか、中東へのアクセスのしやすさ考えると、ニューデリーよりもムンバイの方が行きやすい。ニューデリー近郊にはメーカーを含む多くの企業が拠点を置いているが、比較的狭い範囲に集中しており、出張した方が効率良く回れる。
―インド法人の事業は。
付加価値を付けることができる産業用の貴金属市場で、事業展開を図る。まず自動車に関して言えば、インドの新車販売は自動車ローンの貸し渋りなどを背景に低迷が続いている。ただ、自動車用触媒は、20年4月から導入される新たな排ガス基準を控え、少し盛り返している。
インドの自動車市場は中長期的に伸びる余地が大きく、排ガスの浄化に必要な貴金属製品の需要拡大が見込まれる。インドの人口1000人当たりの自動車保有台数は20台程度であり、米国(約850台)、欧州(700~800台)、日本(650台)、中国(200台)の状況を見ると、大幅な伸びしろがある。
―他の取り組みは。
インドの大気汚染などの環境問題は非常に深刻な状況にあり、クリーンエネルギーへの転換が急務だ。燃料電池触媒やパラジウムを使った水素透過膜など、当社は水素エネルギー分野の需要に対応可能な材料を数多くそろえている。
半導体分野では、米アップルや韓国サムスン電子などがインドでの生産拡大を進めている。今後は半導体パッケージ(電子部品)、発光ダイオード(LED)向け材料の需要拡大が見込まれるが、当社は金線やペースト(接合材)など高品質な関連製品を幅広く取り扱っている。
【了】
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January 29, 2020 at 09:50AM
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