日系乗用車メーカー8社の2020年1月の生産実績は、グローバル生産台数がSUBARU(スバル)を除く7社が前年割れとなった。国内生産は、消費増税の影響による国内販売の低迷などにより、ダイハツ工業とスバルを除く6社がマイナスだった。海外生産も東南アジアや中国の市場減速などによりマツダとスバル以外の6社が前年割れとなった。国内外で厳しい市場環境が続いていることに加えて、中国を端に発した新型コロナウイルスの影響が世界的に広がっており、2020年2月以降の生産実績は一層の厳しさが予想される。
国内 | 海外 | 合計 | |
---|---|---|---|
トヨタ | 255,629 | 457,316 | 712,945 |
▲ 7.5 | ▲ 5.4 | ▲ 6.1 | |
ホンダ | 60,657 | 325,093 | 385,750 |
▲ 21.0 | ▲ 18.7 | ▲ 19.1 | |
日産 | 65,812 | 297,079 | 362,891 |
▲ 8.5 | ▲ 20.7 | ▲ 18.7 | |
スズキ | 79,131 | 219,603 | 298,734 |
▲ 3.3 | ▲ 4.4 | ▲ 4.1 | |
ダイハツ | 83,562 | 55,353 | 138,915 |
4.6 | ▲ 13.5 | ▲ 3.5 | |
マツダ | 81,878 | 44,182 | 126,060 |
▲ 8.3 | 19.9 | ▲ 0.1 | |
三菱 | 48,659 | 59,107 | 107,766 |
▲ 6.8 | ▲ 10.9 | ▲ 9.1 | |
スバル | 50,993 | 38,808 | 89,801 |
132.3 | 8.9 | 56 | |
合計 | 726,321 | 1,496,541 | 2,222,862 |
※上段は台数、下段は前年比。単位:台、% |
トヨタとダイハツ
トヨタ自動車は、グローバル生産台数が71万2945台と前年同月比6.1%減少し、2カ月ぶりのマイナスとなった。国内生産は同7.5%減の25万5629台と4カ月連続の前年割れ。新型「RAV4」など新型車効果はあるものの、依然として消費税増税による販売面のマイナス影響が続いている。
トヨタ自動車の海外生産は、同5.4%減の45万7316台で、2カ月ぶりの前年割れ。北米の生産台数は、RAV4の生産が軌道に乗ったカナダで同5.3%増とプラスを確保したものの、米国は新型「ハイランダー」へ切り替えていることもあり、北米トータルでは同4.3%減の15万8923台とマイナスだった。中国は春節に伴う稼働日減少(前年の春節は2月だった)により同12.6%減。タイもバーツ高や景気低迷による新車市場の減速により同14.6%減となった。一方、インドネシアは2019年11月から生産開始した「カリヤ」の増加により同34.2%増と大幅に増加したものの、アジア全体では同12.6%減の19万5334台と2桁減だった。欧州は新型「カローラ」の好調により同26.0%増の8万752台と好調に推移している。
グループのダイハツ工業は国内外で明暗が分かれた。グローバル生産は同3.5%減の13万8915台と4カ月連続で前年を下回った。国内は小型SUV「ロッキー/ライズ(トヨタ向けOEM)」の効果で登録車が同52.1%増の3万2386台と、全ての月を通じて過去最高を更新した。一方、軽自動車は同12.7%減と不調で、その結果、国内トータルでは同4.6%増の8万3562台と2カ月連続で前年実績を上回り、2020年1月として過去最高を更新した。一方、海外生産は、市場低迷が続くインドネシアに加えて、マレーシアも稼働日が少なかったことなどにより減少。同13.5%減の5万5353台と4カ月連続のマイナスとなった。
ホンダ、日産、スズキ
ホンダは、グローバル生産が同19.1%減の38万5750台と6カ月連続で減少した。国内は、電動パーキングブレーキの不具合で生産停止した「N-WGN」の影響で、同21.0%減の6万657台と5カ月連続で大幅なマイナスとなった。海外生産も同18.7%減の32万5093台と4カ月連続のマイナスだ。北米はセダン系モデルの低迷により同9.2%減と4カ月連続の減少となった。中国では販売自体は好調だったものの、春節の影響により同20.2%減と大幅に減らし、6カ月ぶりのマイナス。インドの低迷などもあり、中国を含むアジア全体では同24.8%減と2カ月ぶりに減少した。欧州は同39.9%減で21カ月連続のマイナスだった。
日産自動車のグローバル生産は、同18.7%減の36万2891台と、4カ月連続の前年割れだ。国内生産は「ノート」の販売減少や北米向け輸出の減少などにより、同8.5%減の6万5812台。12カ月連続の前年割れとなった。国内以上に落ち幅の目立った海外生産は、同20.7%減の29万7079台。全ての地域で減少し、米国は「ローグ」の減少で同28.3%減。中国は春節の影響で同24.7%減と2カ月ぶりのマイナスだった。
スズキは、グローバル生産が同4.1%減の29万8734台と2カ月ぶりに減少した。国内は完成検査問題によりラインスピードを落としたことに加えて、軽自動車販売の減少などもあり、同3.3%減の7万9131台と9カ月連続の前年割れとなった。海外は主力市場のインド販売は微増を確保したものの、生産は同2.1%減とマイナスだった。パキスタンの低迷などもあり、海外生産トータルでは同4.4%減の21万9603台と2カ月ぶりの減少となった。
マツダ、三菱、唯一生産が好調なスバル
マツダのグローバル生産は12万6060台で、5カ月連続のマイナスだったものの、減少幅は同0.1%減と微減にとどまった。国内生産は「CX-30」の台数純増があったものの、「CX-5」や「マツダ3」が減少し、同8.3%減の8万1878台と4カ月連続のマイナス。一方、海外はCX-30の純増やマツダ3の増加に加えて、中国で「CX-4」が大幅に伸長したことにより、同19.9%増の4万4182台と2カ月連続のプラスとなった。
三菱自動車のグローバル生産は、同9.1%減の10万7766台。5カ月連続で前年を下回った。このうち国内は同6.8%減の4万8659台で6カ月連続の減少だった。海外も同10.9%減の5万9107台と4カ月連続で減少した。主力工場であるタイが「トライトン」の減少などにより同7.3%減とマイナスだった他、インドネシアも「エクスパンダ―」の新型車効果が薄れたことで大幅に落ち込んだ。中国も春節の影響で同6.3%減となった。
日系乗用車メーカーで唯一好調だったのがスバルだ。グローバル生産は同56.0%増の8万9801台と、3カ月連続のプラスとなるとともに、1月として過去最高を更新した。国内は同2倍超の5万993台と3カ月連続の増加。ただこれは2019年1月に「インプレッサ」や「フォレスター」に採用した電動パワーステアリングの不具合により、多くの車種の生産を停止したことの反動によるもの。海外は同8.9%増の3万8808台と2カ月ぶりのプラスで、1月として過去最高を記録。「アウトバック」の生産が伸長した。
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