
千葉県野田市の小学四年栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待死させたとして、傷害致死罪などに問われた父親勇一郎被告(42)の裁判員裁判は九日、千葉地裁で論告求刑があり、検察側は「虐待という言葉では表現しきれない凄惨(せいさん)かつ非道な行為」と懲役十八年を求刑した。弁護側は「しつけが行き過ぎた結果だ」と主張し、結審した。判決は十九日の予定。
勇一郎被告は閉廷前の最終意見陳述で「自分のしたことが許せません」と話した一方、「私が支配的立場となり、家族が逆らえないということは全くありません」などと訴えた。
公判で心愛さんへの暴行の多くを否定した被告に対し、検察側は「実質的に虐待を認めず、心愛さんに責任を押しつける態度に開いた口がふさがらない」と指摘。他の児童虐待事件と比べても「従来の量刑傾向を大幅に超える比類なき重い事案だ」と述べた。
さらに、被告が心愛さんに暴行したとする妻(33)の証言を「具体的かつ迫真的だ」と評価。被告の説明は「唐突かつ不自然で、合理的に説明できていない。反省の態度は皆無で、いまだに心愛さんを虐待している」と非難した。
弁護側は最終弁論で「日常的虐待ではない」と改めて主張した。「被告への社会的な注目や批判が多く、既に社会的制裁は受けている。心愛さんへ償いの気持ちを持ち、今後の生き方を考えようとしている」と情状酌量を求めた。
被告は一九年一月二十二〜二十四日、心愛さんに食事や十分な睡眠を取らせず、浴室に立たせ続けたり、冷水シャワーを浴びせ続けたりして死亡させたとされる。他に妻への暴行など五件の罪で起訴された。
◆泣きながら退廷
「みーちゃん、本当につらいを思いをさせてごめんなさい。謝っても謝りきれません」。黒いスーツ姿で出廷した勇一郎被告は裁判長から意見を求められ、持参した紙を涙声で読み上げた。
これまでの公判と同様、この日も日常的な虐待は否定し、「心愛にしたことで言い訳はありません。事実を話しました」と声を震わせた。最後に「罪としっかり向き合って一生懸命償います」などと述べた。
論告では検察官から「謝罪は空虚で反省の態度が感じられない」と厳しい言葉を浴びせられた。この間、前を見据え、表情を崩すことはなかった。
退廷する際もこれまでと同じく傍聴席に十秒近く深々と頭を下げたが、顔を赤らめ、泣きながら法廷を後にした。 (太田理英子)
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March 10, 2020 at 05:35AM
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野田虐待死 父親に懲役18年求刑 「凄惨、非道な行為」 19日判決:社会(TOKYO Web) - 東京新聞
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