2020年5月15日、警察庁は犯罪統計資料(令和2年1~4月)のなかで、全国の乗り物(クルマ、バイク、自転車)の盗難認知件数が前年同月比11.9%減の4万6552件だったと発表した。
毎年1~4月、1~12月の確定値が発表されているものだが、2020年(令和2年)のデータでは、自動車盗(クルマ)の認知件数が昨年同時期に比べると18.5%と、かなり下がっていることがわかった。
この背景にはどんなことが考えられるのだろうか? 自動車盗が減少したワケと、愛車を守るにはどのような手が有効なのか紹介していく。
文/永田恵一
写真/Adobe Stock(Ryusuke Komori@Adobe Stock)、M’z SPEED
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■2020年1月から4月の乗り物の盗難認知件数の詳細
前年(2019年)1月から4月が 5万2872件に対し、4万6552件だった2020年1月から4月の乗り物の盗難認知件数の内訳は、クルマが前年 2466件に対し18.5%減の2009件、バイク 同3814件に対し16.9%減の3170件、自転車 同4万6532件に対し11.2%減の4万1383件とすべて減少した。
いろいろな意味で盗みやすい自転車の盗難認知件数が圧倒的に多いことには納得もできる反面、4カ月で4万件以上あった点にも驚くが、クルマを含めた乗り物の盗難認知件数が減少した最大の要因はやはり新型コロナウイルス感染防止のためのステイホーム、自粛の影響だろう。
具体的には、2019年のクルマの盗難認知件数は 7143件で、盗難に遭った場所は一般住宅(自宅駐車場)2460件、駐車場 2726件、道路上 319件、その他 1638件という内訳だった。
それがステイホームによる在宅で人が居る家が増えれば、一般住宅に止まっているクルマは現行犯となる可能性も高まるので狙えない、外出する人が減ってクルマも動かなければ駐車場や道路上にターゲットとなるクルマも出てこないから、クルマの盗難も減ったということなのだろう。
また、新型コロナウイルス感染防止のため人やクルマの動きが減ったのは3月半ば以降だったので、乗り物の盗難減少の多くは1カ月半の間だったということだったのかもしれない。



■今後クルマの盗難認知件数はどうなる?
新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言はすでに全国的に解除されており、人の動きが回復すれば、それに伴ってクルマを含めた乗り物の盗難ももとに戻るか反動で増加するというのはごく順当なひとつの展望だ。
しかし、筆者は最近所用で行った新車ディーラーで「新型コロナウイルス禍による物流の停滞、景気の悪化により中古車の輸出が減っているため、結果的にクルマの査定額も下がっている」という話を聞いた。
このことを頭に置くと、盗難されたクルマは解体するなどして輸出されることも多く、クルマが輸出できなければ足が付かないよう即処理したい盗難したクルマの処理に困る。
そのため、いずれはクルマの盗難がもとのように戻ると想定する必要はあるにせよ、当面の間か状況によってはワクチンが開発され新型コロナウイルスが完全に収束するまで、輸出の影響でクルマの盗難も減少するということも考えられる。
■クルマの盗難防止対策
残念ながらクルマの盗難が減っても、クルマの盗難は輸出目的など大がかりな窃盗団による犯行が多いと言われているだけに、ゼロになるということは考えられず、今一度盗難防止対策を紹介したい。
●ノーマル状態で盗難されにくいクルマを選ぶ
これからクルマを買うのであれば、キーでエンジンを掛けるクルマならキーの形が合致すれば解錠はできても、キーとクルマの交信が合致しないとエンジンが掛からないイモビライザー付きを、物理的なキーではなくスタートボタンでエンジンを掛けるスマートキーのクルマを選ぶというのが第一段階だ。
しかし、スマートキーについてはここ数年スマートキーが常に微弱電波をキャッチし、解錠しエンジンを掛けて盗難する「リレーアタック」と呼ばれる犯罪も急増している。
そのため微弱電波を遮断するためスマートキーを自宅での駐車中なら鉄製のお菓子の空き缶などに仕舞う、外出中ならスマートキーにそういったカバーを着ける、不便にはなるもののスマートキーから微弱電波を出さずスマートキーのボタンで施錠&解錠を行い、スタートボタンでエンジンを掛けるモードにするといった対策も考えたい。

●一番盗難されやすいドアロックなし、キーを着けたまま、スマートキーを置いたままでの駐車をしない
●駐車場所
・自宅駐車場の場合
鍵の掛かる扉やゲートがあれば安心度は増す。また前後に2台駐車するなら盗難の際の被害が少ないほうを前にするという手はある。
・コインパーキングなどの場合
なるべく人通りが多く、街灯があるなど明るいところを選びたい。また屋内の駐車場のほうが、屋外の駐車場に対し盗難に遭う可能性は格段に減少する。
●セキュリティはあればあるほど盗難に遭いにくい
泥棒は失敗や現行犯逮捕につながることもあり、盗むのに時間 & 手間が掛かるものは避ける。そのためセキュリティを少しでも強固なものにするというのは非常に有効だ。
安価なものではダミーでもいいので「盗難防止装置装着車」というステッカーやセキュリティライト、ハンドルロックやタイヤロック、セコムなどの警備会社やトヨタ車のコネクテッドによるGPSを使った追跡や警備員の追跡サービスなど、セキュリティの手段は現在数え切れないほどある。
●パーツの盗難防止
クルマそのものでなくとも、犯罪に悪用するためのナンバープレート、タイヤ&ホイール、カーナビといったパーツの盗難も絶えない。
対策としてはそれぞれのボルト、ナットをロックタイプとし盗難されにくくする、最近は減っているがオンダッシュのカーナビならカバーを掛ける、取り外しできるPND(ポータブル・ナビゲーション・デバイス)やタブレットは、駐車中外して持ち歩くといったことが浮かぶ。

●車両保険に入る
極端なことを書くと、窃盗団は「狙ったクルマを最後はフォークリフトで持ち上げるなど、どんな手段を使ってでも盗難する」と聞く。つまり交通事故のようにどんな注意しても「遭うときは遭う」というのも事実だ。
そのため、盗難に遭った際に最終的に頼りになるのは保険であり、総合的に判断して「盗まれたら困る」というクルマには盗難もカバーされるエコノミータイプを含めた車両保険の加入も考えたい。
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June 06, 2020 at 03:00PM
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