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ゴーン再生計画をなぞる日産の幸運 三菱自動車の嘆息 - ITpro

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 拡大路線の失敗により、2020年3月期決算で6700億円超の大赤字を計上した日産自動車。復活の鍵を握るのが、SUV(多目的スポーツ車)「エクストレイル」だ。全面改良に成功した後、再生の象徴にスポーツ車「フェアレディZ」を投入する算段である。カルロス・ゴーン元会長が輝いた20年前の復活劇をなぞるようで芸はないが、車種の巡り合わせに内田誠社長の運の強さを感じる。ただし、“再生後”の成長戦略は絵に描いた餅だろう。

エクストレイルの北米版「ローグ」(出所:日産)

エクストレイルの北米版「ローグ」(出所:日産)

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 日産は、22年までに12種類の新型車を投入すると発表した。とりわけ重要なのが、20年秋に米国で販売するSUV「ローグ」、21年初めの“兄弟車”「エクストレイル」、続く欧州向けの「キャシュカイ」である。

 “3兄弟”で年間90万台超を販売できる可能性がある日産の屋台骨だ。世界販売の2割超を占めるかもしれない。英調査会社IHS Markit(IHSマークイット)の川野義昭氏は、日産の再生は「エクストレイル“3兄弟”が左右する」と言い切る。

 日産が、初代エクストレイルを販売したのが00年。当時の国内SUV市場を席巻し、1999年にゴーン元会長が発表した「リバイバルプラン」のけん引役になった。当時を知る日産のベテラン技術者は、「エクストレイルのヒットで、社内は前向きになった」と振り返る。

 20年たち、日産再生の重要な役回りを再びエクストレイルが担うのは、不思議な巡り合わせだ。折しも世界は空前のSUVブームで、期待は大きい。

 車両の開発はおおむね5年単位。エクストレイルの開発計画は、内田氏が社長に就任する前から進んでいたもの。自身が20年5月末に発表した「事業構造改革計画」から間髪を入れずに“3兄弟”を投入できるのは、幸運である。

 経営陣の迷走の末、社長に就任した内田氏にとって、もう1つ幸運と言えることがある。幹部の退社が相次ぐ中、副社長で生産を担当する坂本秀行氏が残留していることだ。日産の命運を握る過剰な生産能力削減の矢面に立つ。

 日産の幹部には転職組やフランスRenault(ルノー)出身者が多い中、坂本氏は日産の技術畑を一貫して歩んできた。社内の信頼が厚く、生産能力削減という荒仕事に欠かせない。別のベテラン技術者は、「坂本氏が残っていてよかった」と安堵する。

 内田氏が“3兄弟”の全面改良と生産能力の縮小にめどを立てた先に見つめるのが、Zの投入を大々的に発表することだろう。Zを日産復活の象徴に据えたゴーン元会長のリバイバルプランに、なんだかそっくりである。

事業構造改革計画の発表で、「Z」の発売を示唆する動画を披露(出所:日産)

事業構造改革計画の発表で、「Z」の発売を示唆する動画を披露(出所:日産)

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 Zの改良が22年までに間に合うことには、少し驚いた。せっかくなので、日産にとって“再生”を高らかに宣言する華々しい舞台にしたいところだ。発表の場は、21年秋に開催されるだろう「東京モーターショー」がふさわしい。

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June 22, 2020 at 03:01AM
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