ダッソー・システムズは、オンラインイベント「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE」を開催。その中でカテゴリーセッションとして、三菱自動車工業 第一車両技術開発本部 機能実験部 空力技術開発の奥津泰彦氏が登壇し「PowerFLOWとwave6を活用した自動車床下空力騒音の伝達メカニズム解明」をテーマに、床下空力騒音解析の数値計算手法と計算結果などを紹介した。
ダッソー・システムズは、オンラインイベント「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE」(2020年7月14日〜8月7日)を開催。その中でカテゴリーセッションとして、三菱自動車工業 第一車両技術開発本部 機能実験部 空力技術開発の奥津泰彦氏が登壇し「PowerFLOWとwave6を活用した自動車床下空力騒音の伝達メカニズム解明」をテーマに、床下空力騒音解析の数値計算手法と計算結果などを紹介した。
国産車の弱点とされる中周波数帯域の騒音改善へ
自動車の車室内の静粛性を高めることは、利用者に快適な車室内空間を提供するために重要な要素となる。動力源からの騒音が小さい電動車両(EV、PHEV)では、高速走行時の車内音として空力騒音が相対的に目立つ傾向にあり、自動車開発において空力騒音低減の重要性はますます高まってきている。
これまで自動車の空力騒音に関する数値解析の多くは、主要な空力騒音発生部位であるドアミラー周辺で行われてきた。その主な対象周波数帯域は1kHz以上の高周波帯域となっている。この空力騒音は、発生メカニズムや車室内の伝達メカニズムがおおむね解明されてきており対策できるようになってきている。
一方で、自動車技術会のシンポジウムで、空力騒音に関して欧州車に対する国産車の弱点は、中周波数帯域であることが報告されている。中周波数帯域で車室内空力騒音を構成する大きなものの1つに床下空力騒音がある。そこで、三菱自動車は200〜800Hz帯の床下空力騒音を改善するために、その伝達メカニズムを解明することを目指したという。
奥津氏は「自動車の空力騒音は、車室内音の音圧レベルが評価対象であるため、流体計算だけで加振場の音圧レベルを予測する物理現象とは異なる。自動車の空力騒音を数値解析で予測・評価するためには、流体・振動・音響の連成解析が必要となる」と述べる。そのため床下空力騒音解析には、流体場の計算に「PowerFLOW」を、車体振動と車内音場解析に「wave6」を用いて連成解析を行ったという。
流体解析に用いたダッソー・システムズのPowerFLOWは格子ボルツマン法ベースの特性解析ソルバーである。解析では、中周波数帯域の現象を本質的に再現するために、車速は時速100km、物理計算時間は2秒間とした。流体解析モデルは表面メッシュ数が約2500万要素、空間メッシュ数が約2億となっている。圧縮性流体解析を行っているため、計算結果の圧力変動場には実際の現象と同じく、流体変動成分と圧縮性に起因する音響成分が含まれている。
wave6を用いた車体振動および車内音場の計算にはFEM(有限要素法)を使った。構造サブシステムのメッシュサイズは10mmで、1200Hz以下で構造モードの数は7266個。また、音響サブシステムのメッシュサイズは50mm、同じく音響モードの数は708個となっている。車内音の解析ではトリムドモデルを採用し、FEMによる音響空間と車体構造の間に伝達インピーダンスを設定した。伝達インピーダンスは、伝達マトリックス法で求め、それを用いて構造側と車内音響側の自由度を連成させている。具体的にはフロントとリアのフロアカーペット、ダッシュパネルパッド、ヘッドライニングに設定した。また、音響空間内のインピーダンスは、フロントとリアのシートに設定した。
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August 18, 2020 at 09:00AM
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