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中国自動車産業に参入するには 突出して異なる“商習慣” - ITmedia エグゼクティブ

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 新型コロナウイルスの影響により、世界の自動車産業は惨憺(さんたん)たる状況にある。日本でも今年4〜6月期に赤字となる自動車メーカー、部品メーカーが続出し、通期見通しも厳しい予想となっている。しかし、いち早く新型コロナ感染が収束した中国では、4月から自動車販売台数がV字回復している。このままいけば、昨年の2570万台前後まで到達する勢いである。

武漢にあるアウディの販売拠点(ブルームバーグ)

 また、新エネルギー車もずっと低迷していたが、補助金2年間延長の影響もあり、7月から前年実績を上回っている。このような影響からか、米国、欧州、日本での落ち込みをカバーするため、中国市場に参入したいとの問い合わせを寄せる日本の部品メーカーが増えている。今回は中国自動車市場への参入について考えてみたい。

異なる商習慣

 他国の自動車市場に参入しようとする場合、日本との違いに面食らうことも多い。筆者の経験では、米国、欧州、オセアニアなどと比べ中国の商習慣は突出して異なり、参入には、高いハードルがある。部品メーカーが中国地場自動車メーカーに参入しようとする場合の3つのハードルを挙げてみたい。

 1つ目は、相手先から持ちかけられる合弁の提案だ。単独で進出するのではなく、中国自動車メーカーもしくは大手部品メーカーと話をする中で、合弁会社としないかと提案されることが多い。

 大手自動車メーカー傘下、もしくは関連企業で、似たような部品もしくは技術要素として近い企業がある点は日本側にとって救済となり、売り込みの仕事は合弁の中国側関係者が担当するため、事業として参入しやすいことも利点だ。しかし、日本側に新たな技術がないと思われると切り離される恐れがある。

 2つ目のハードルは、契約条件が日本では考えられないほど厳しいことであろう。特に、搬入日程遅延、部品不良などの条項は、多くの箇所にペナルティー(いわゆる罰金)として規定されることが多い。日本での感覚では、法務や知財などはあまりにリスクが多すぎて、尻込みすることが多い。利点としては、中国の地場部品メーカーの対応を学ぶことができる。

 3つ目は、米中新冷戦の激化である。最初は中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が5G関連でやり玉に挙げられたが、ここにきて動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営するIT企業の北京字節跳動科技(バイトダンス)や、ウィーチャットを運営する騰訊控股(テンセント)にまで拡大しており、どこまで広がるのか不透明になってきた。

 米国は2018年に成立した国防授権法を活用し、これまでの軍事技術のみならず、エマージング技術と呼ばれるベンチャー企業などが生み出した技術や、迂回(うかい)調達までも制限している。自動車分野への影響はまだ不透明であるが、自動運転技術、人工知能(AI)関連技術などは要注意であろう。

品質への要求

 こうしたハードルはあるにせよ、全て悲観する必要はない。日米欧の自動車メーカーが現地生産したり、輸入したりすることにより、自動車に対する品質基準は確実に上がっており、地場メーカーとしても引き離されるわけにはいかない。そうなると、いかに信頼できる部品メーカーを選定するかが鍵になる。

 特に、中国企業は米中新冷戦が激化する中、米国企業からではなく、日本もしくは欧州企業から調達したいと思うであろう。中国は既に新型コロナを乗り越えて市場が回復傾向にあり、日本にも視線を向けている。まだ中国と行き来できないが、次第にビジネスベースでオープンとなっていくのではないだろうか。

 ただし、参入当初からもうけるのは難しい。新規参入の場合、品質が同等なら2〜3割安価とするか、特別な技術、他社にはまねのできない技術があることが必要となる。また、参入するには、中途半端な立ち位置でなく、腰を入れて現地で一緒に成長していこうとする気概と姿勢が大切であろう。

【プロフィル】和田憲一郎

 わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i−MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。福井県出身。

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