国の特別天然記念物コウノトリの野生復帰に取り組む野田市は、市内での野外繁殖を成功させようと、三年前に同市で誕生した雄の「ヤマト」の“恋人探し”を応援する。愛の巣となる人工巣塔二基を設置するため、二百二十万円を目標に寄付の募集を始めた。
ヤマトは二〇一七年四月に同市の飼育施設「こうのとりの里」で生まれ、同年六月に放鳥された。昨年八月、徳島県鳴門市生まれの雌の「歌(うた)」を連れて戻ったが、ペアにはならず、同じ野田市生まれの雄の「ひかる」が歌を“略奪”し、ペアを組んで渡良瀬遊水地(栃木県小山市)に飛び去った。
ヤマトは、今年二月から野田市江川地区に長期滞在中。このまま定着する可能性があることから、市は同地区に人工巣塔の設置を計画。もう一カ所はひかると歌の間に生まれた「わたる」(雄)らが飛来している木間ケ瀬地区に建てる。巣塔は高さ十二メートルで、上部に直径一・六メートルの皿状の巣台が取り付けられる。
市によると、十一月時点で、関東地域に滞在しているコウノトリは九羽。雌は二羽か三羽とみられ、ヤマトのライバルは多い。担当職員は「一月下旬から本格的に恋人探しが始まる。ヤマト君に四年目の春が訪れるよう、私たちと応援して」と呼び掛けている。
寄付金の募集は来年二月二十五日まで。ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で二千円から受け付けている。十万円以上は希望すれば巣塔に名前が入る。 (牧田幸夫)
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